【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
「そうだな…俺は彼に嫌われているらしいし…」
「そうだなって、アンタねぇ…」
エンジンをふかし、タバコをくわえながらハンドルを握る。
それは、まぎれもなく赤井秀一だった。
ジョディのターコイズブルーの瞳は
彼をとらえて離さない。
瞬きさえも忘れて、もうどこにも行かないで欲しいと、
真っすぐ前だけを見つめる彼の横顔に願った。
「この辺で良いか…」
「えぇ、ありがとう。
シュウ…」
車を路肩に停めてハザードランプをつける。
名前を呼ばれてジョディの方を見ると
涙をこぼす彼女と目が合った。
「なんだ…」
「あなたが生きていて良かった…本当に…」
静かに泣きだすジョディを前に
居心地が悪くなるが、
仲間に心配をかけていたことは確かだ。
「すまなかったな、ジョディ。キャメルも…
これからもよろしく頼む…」
そう言って、ポンポンとジョディの肩を軽く叩いた。
「次に死んだフリなんかしたらタダじゃおかないわよ!!」
「フッ…分かった分かった、早く帰れ」
シッシッと追い払うようなしぐさをすると
ジョディとキャメルは車から降りた。