【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
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「…発砲!?奴を追え!今度はどこへ雲隠れするか…!」
安室は沖矢の正体を暴くべく、工藤邸へ乗り込んでいた。
しかし、その計画は失敗に終わり、
”今”目の前にいる沖矢昴は
赤井秀一ではないことが分かった。
「少々静かにしてもらえませんか?
今、この家の家主が大変な賞を受賞して
スピーチをするところなんですから…」
沖矢はどこか面白そうに言うと、テレビを注視する。
割れんばかりの拍手と歓声が
テレビ画面を通り抜けて響いてきた。
安室はトーンダウンすると再びスマートフォンに
耳を傾ける。
『久しぶりだな、バーボン…
いや、今は安室透君だったかな?』
「赤井…秀一…」
電話越しに死んだはずの亡霊の声が聞こえる。
この沖矢昴は一体だれなのか
今はそんなことを考えている暇はない。
『あだ名が”ゼロ”だとあのボウヤに漏らしたのは失敗だったな…
降谷零君…』
その名前を呼ばれた途端、
心臓を乱暴に掴まれたような息苦しさを感じた。
「赤井…貴様っ…!」