【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
「な、なんなんですかアイツら…!!」
間一髪危機は乗り越えたものの
相変わらず分が悪い。
崖に乗り上げた衝撃で、タイヤのエアーが漏れ始めていた。
「キャメル!どうにかしてよ…!」
黒塗りの車がジョディたちを追い詰める。
アクセルを踏んでも、ベンツは言う事を聞かない。
「屋根を開けろ…」
その時、後部座席から聞きなれた声がした。
「開けるんだ、キャメル…」
顔を見なくても分かる。その正体は…
「シュウ!!」
「赤井しゃん…」
赤井はガン!と後部座席の背もたれに長い脚を突っ張り、
運転席の背もたれに自分の背中をつけ、身体を安定させる。
暗闇の中、左手に手袋をはめると
緋色のスナイパーは懐から拳銃を取り出した。
「5秒だ、キャメル…
5秒間、速度とハンドルを固定しろ…
このくだらんチェイスにケリをつけてやる…」
5、4、3、2、1…
__パンッ!
乾いた銃声と共に
放たれた弾丸は危険なカーチェイスを仕掛けてきた
車のタイヤに吸い込まれるようにして命中した。