【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
白いベンツは、急カーブ注意の標識をいくつも通り過ぎ
進んで行く。
山の中腹に差し掛かると、
黒塗りの車がチラチラとバックミラーに映り込む。
「少々飛ばしますよ…後ろから妙な車がつけて来ているんでね…」
「えっ!?」
キャメルがグン、とアクセルを踏み込むと
タイヤは力強く斜面を駆け登る。
引き離したかと思われたが、
相手も同じスピードで距離を詰めてきた。
「あーっ!あの男よ!あの妙な男!!」
ジョディの頭が一瞬スパークする。
米花百貨店でぶつかった男が赤井と同じ口癖で
話しかけてきたことを思い出したのだ。
キャメルは後ろの車を巻こうとするが
一本道では上手くいくはずもない。
何本目かのカーブを曲がると突然、
目の前に3台の車が現れ、行く手を阻む。
「バリケード!?」
「ジョディさん、舌噛まないように気を付けてくださいよっ…!!」
キャメルは目の前の車にひるむことなくアクセルを踏み、
右側の前後輪を崖に乗り上げると
テールランプを引きずりながらバリケードの隙間を
車体を横に傾けながら縫うように進む。