【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
「なるほど…それもまた一興、というわけですか…」
「君からは緋色の捜査官のヒントを沢山もらっているからね。
give and take になっているかな?」
「ご冗談を…」
お互いの腹を探り合うように
男たちの間には緊張した空気が流れる。
優作がコーヒーカップを手に取り、一口飲んで
ソーサ―に戻す。
「「…はははっ!」」
男たちは同時に笑い出すと、
今度は優作の方から右手を差し出した。
赤井はそれに答えるように握り返す。
「いやぁ、有希子。彼は本当に面白い人だね」
「何よ2人して。私を仲間外れにする気?
私の変装術あっての作戦なんですからねっ」
ご機嫌な斜めになってしまった有希子を
優作はあの手この手でなだめている。
(ボウヤ、俺は君の両親に敵わないな…)
赤井はふぅ、と軽く息を吐くと
ここにはいない名探偵に思いをはせた。