【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
「それなら用意してありますよ。
お二人はお疲れでしょうからリビングでお待ちください。
荷物も上まで運んでおきます…」
そう言うと赤井は有希子の持参した大きなボストンバッグと
優作のスーツケースを軽々と持ち2階へ上がった。
「まぁ♡気が利くのね♡」
「私は彼を見習わなければならないね」
夫婦は緋色の捜査官への感想を口々に述べると
上機嫌でリビングへ向かった。
「秀一さん、Kittyちゃんは元気になったのかしら?」
有希子はコーヒーに角砂糖を入れながら
スプーンをくるくる回す。
「Kittyちゃん?」
優作は新聞を読みながら有希子の方を見る。
「前に言ったじゃない、ここに住んでる女の子の話。
一度会ってみたいわ~」
「あぁ、そうだったね」
「もうすっかり元気になりました。
気まぐれで、ときどき鳴いて
可愛いものですよ…」
「ウフフ♡ますます気になるわ」
談笑もほどほどに、
優作は新聞をたたんでテーブルに置くと
ソファに深く腰掛けた。