【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
2階の踊り場からそよ香の姿が見えなくなったことを確認すると
沖矢は変装を解いた。
漆黒の髪にグリーンアイのその男は
今日起こるマジックの種明かしが待ちきれない様子だ。
キッチンで3人分のドリップコーヒーを丁寧に淹れいていると
チャイムが鳴った。
__ピンポーン、
「はい、」
「秀一さん、おまたせ♡伝説の大女優が来たわよ~ん♡」
インターフォンのカメラに向かってウィンクをするのは
家主の妻、有希子だ。
その後ろには大きな荷物を抱えた家主が立っている。
「こらこら、有希子。早く入りなさい」
玄関で夫妻を出迎えると、赤井は家主に挨拶をした。
「優作さん、初めまして…赤井秀一です。
ご挨拶が遅くなり、申し訳ない。」
左手を差し出すと、優作は力強く握る。
「君の話は有希子やコナン君からよく聞いているよ。
優秀なFBIに加えて男前とは…
天は二物を与えるようだ」
「こんな所じゃなくって、中で話しましょ?
私、コーヒー淹れるわね」
有希子はいそいそと上着や帽子を脱ぎ、
玄関のクロークへしまう。