【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
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「じゃ、今日は仕事が終わったら
そのまま蘭ちゃんちに泊まってきますから」
「わかりました。僕も週末は用があるので、家を空けます」
コナンの策が功を奏したのか、
そよ香は金曜日から蘭の自宅で1泊することになっていた。
「それにしても、女性は恋バナがお好きなのですね」
「そりゃぁそうですよ。
あの言葉はどういう意味だったんだろうとか、
どう思われてるんだろうとか、
気になってしまうものですよ。好きな人のことは特に」
「ホー、ということはそよ香さんもそういったご経験がおありで?」
頬杖をつきながらニヤニヤ見てくる沖矢は
意地悪な顔をしている。
「まぁ、ありますけど…沖矢さんには関係ないじゃないですかっ」
「僕はとても興味がありますよ。
そよ香さんの意中の相手というのが…
それにしても、もう昴と呼んでくれないのですね」
沖矢の言葉を無視してそよ香は荷物を持って玄関に向かう。
「今日は荷物も多いですし、会社まで送りましょうか?」
「結構ですっ!行ってきます!」
相変わらず口の減らない沖矢だが、
あれから触れられることもなく
前のような気まずさも徐々に無くなっていった。