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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第7章 パフォーマンス




振り返ったそよ香の瞳は濡れていた。


「そう、ですね…」


逃げるように階段を一気に駆け上がると、

そよ香は自室へと閉じこもって鍵をかける。



「……俺も大概だな」



沖矢はやり場のなくなった手を

ズボンのポケットに突っ込んでリビングへ足を向けた。















枕に顔を押し付けると、

ぽろぽろと涙が溢れてきた。




(どんな関係でもない、か…)




唇を重ねたのも、沖矢の愛撫を受け入れたのも、

流されてしまった結果とは言え

そよ香には特別な行為であったのは間違いない。

しかし沖矢にとっては、

気まぐれの暇つぶしでしかなかったのかもしれない。

それなのに、沖矢のあの言葉がどうしようもなく

そよ香の心を痛めつけるのだけは分かった。




(苦しいよ…)




止めどなく溢れてくる涙を

そよ香は感情のままに流し続けた。



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