【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
そよ香がいくつもの紙袋を
両腕に下げているのに気が付くと、
沖矢は何も言わずに持ってやる。
小さなチョコレートの箱が入っているだけなので
さして重くはないのだが、
些細な優しさに気が付くと
特別扱いされているようでそよ香の心は落ち着かない。
「ねぇねぇそよ香さん、
最近、蘭姉ちゃん悩み事があるみたいなんだ」
「えっそうなの?」
3人で工藤邸に戻り、
沖矢が淹れてくれた紅茶と一緒にチョコレートをつまむ。
「うん、たぶん新一兄ちゃんのことだと思うんだけど、
ボクじゃ分からないから
そよ香さん蘭姉ちゃんのお話聞いてくれない?」
「うん、もちろんだよ!」
「じゃぁ蘭姉ちゃんに言っておくね」
沖矢はこれが来週末にそよ香を追い出す口実だと気づくと
成り行きを見守った。
会うきっかけさえ作ってやれば、
あとは女同士会話が弾むに違いない。