【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
コンコン、と扉をノックする音が聞こえると
沖矢が出迎えコーヒーの乗ったお盆を手に持ち
コンシェルジュを追い返した。
冷静沈着なFBI捜査官が
珍しく怒った態度をとる。
「どうしたの?」
「安室君はそよ香に記憶削除剤を使ったらしい。
あれはまだアメリカでも研究段階で、
どう作用するかも解明されていない部分があるから
現段階では動物実験しか許されていないと聞いている…
今回は運よく安室君が来ていた間の記憶だけがなくなっているが…」
鷲が獲物を見つけたように赤井の目は鋭く光る。
「安室君はそよ香を危険な目には合わせないと
タカをくくっていたよ…残念だ…」
タバコが吸えないラウンジのようで
灰皿がないのに気が付くと赤井は諦めたように
大きなため息をついた。
「赤井さんがそんな風に怒ってるの
初めて見たよ」
「…そうだな。俺らしくもない…
まぁ、安室君にはお灸を据えておいたからな」
「さっきから何?そよ香さんと関係あるの?」
「…フン、ちょっとつまみ食いしただけだ」
(そーいうのは子どもに言っていいのかよ)
アイスコーヒーを強引にのどへ流し込むと
赤井は本題に入る。