【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
ラウンジの入り口で沖矢がコンシェルジュに
ブラックカードを見せると、個室へ案内された。
「なんで ”沖矢昴” がブラックカードなんて持てるの?」
コナンは訝しげに沖矢を見た。
「子どもは知らなくて良いこともあるんだよ、ボウヤ」
アイスコーヒーをふたつ…
沖矢がコンシェルジュにそう告げると
コンシェルジュは少し驚いたような顔をして
分厚い扉を閉めた。
完璧なプライベート空間とはいえ
油断はできない。
今日は変声機のスイッチを切ることはやめた。
その代わり、開かれたオリーブグリーンの瞳は
どこか高揚しているようだ。
「安室さんが動いたってことはもうすぐだね」
「あぁ、昨日家に来て盗聴器を仕掛けてくれたよ。
全て処分したがな」
面白がるように言うのは沖矢の声をした赤井秀一だ。
「僕が安室さんにそよ香さんの居場所を教えたのが
木曜日だから、すぐ行ったんだね。
どうやって家に入れたの?
土曜日じゃそよ香さん仕事休みでしょ」
「そよ香が招き入れたんだろう。
その後、薬で眠らされたようだ…チッ」