【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第7章 パフォーマンス
ぷつっと映像が途切れると
そよ香は目を覚ました。
「…夢」
部屋の中は暗く、レースのカーテンから差し込む
弱い月明かりでうっすらと周りが見えるだけだ。
サイドテーブルに置かれた小さな時計を見ると
針は午後10時を過ぎたばかりだ。
夢に見たのは、
頭の隅に追いやっていた幼き日の思い出。
何も知らないままでいられたら、
私は幸せな最期を迎えられていたのだろうか…
そんなどうしようもないことを考えながら
体を起こすと、かけられていた布団がするりと落ちる。
「…!」
自分の裸体が目に入り、
つい先刻の甘美な悦びを思い出した。
無意識のうちに指が唇をなぞると、
沖矢の熱い吐息と、絡まる舌の快楽が呼び起こされる。
それと同時に子宮のあたりが
きゅっと、うずいてしまって
羞恥心でどうにかなりそうだった。
「シャワー浴びよ…」
1階に降りると、リビングのドアの隙間から
明かりが漏れていて、テレビの音も聞こえる。
そよ香は何故かコソコソとシャワールームに向かった。