【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第6章 一歩先*
(~~!これじゃまるで沖矢さんのことが…
いや、違う!ちょこ!チョコが食べたいの!私は!)
気が付くと再生したドラマは半分まで終わってしまっていた。
巻き戻そうとリモコンを手に取ると
チャイムが鳴る。
__ピンポーン、
(あ、郵便屋さんかな)
インターフォンの受話器を取り、
訪問者に声をかける。
「はい」
「そよ香さん、こんにちは。
安室です」
「えっ!?…安室さん!?」
急いで人前に出られる格好に着替えると
玄関のドアを開ける。
「お久しぶりです。
心配になって会いに来ちゃいました。
そよ香さんのお好きなケーキを持ってきましたので
あがってもよろしいですか?」
安室の笑顔と共に、
ケーキ屋さんの箱が目に入った。
「ど、どうぞ…」
「お邪魔します」
安室をリビングに通し、
ソファに向かい合って座った。
「…私言いましたっけ?ここに住んでること」
「コナン君から聞いたんですよ。
前に僕が電話した時、既にここにいらしたんですね…」
「…ごめんなさい、何て言ったらいいか分からなくて」
「あ、いや、そよ香さんを責めているわけでは…
ケーキを食べながら話しませんか?」
「じゃぁ、紅茶淹れてきますね!」
そよ香はパタパタとスリッパを鳴らして
キッチンへ消えていった。