【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第1章 点と点
すると一瞬、スマホの画面に何かが映る。
「…extraction?」
安室はそれを見逃さなかった。
「蘭ちゃん!コナン君!」
階段を昇る二人に声をかける。
「あれ?そよ香さん!どうしたんですか?」
「毛利先生に用があったんだけど、
お取り込み中だったみたいで…
ポアロで時間潰してたんだ」
蘭が事務所の鍵を開けドアを引くと
タバコの匂いが一気に押し寄せた。
「げほっ、げほっ…」
3人で一斉に咳き込む。
「ちょっとお父さん!タバコ吸うなら換気扇の下か
ちゃんと窓開けてっていつも言ってるじゃない!」
ドサッと食材でいっぱいになった買い物袋と
通学カバンをソファに置くと
蘭は事務職の窓を開けて回った。
「依頼人がヘビースモーカーだったんだよ!!
俺じゃねぇよ!!」
毛利先生の名誉のために
競馬のことは口にしないでおこうと思ったそよ香だったが
その思いは隣にいたコナンにあっけなく崩されてしまう。
「小五郎おじさん、タバコ吸いながら競馬見てたんでしょ」
ジトッとした目で小五郎を見つめる。
「えぇっ!?またぁ!?」
スーパーで買ってきたものを冷蔵庫に詰めながら
蘭がこちらを覗く。
「だーかーら、違うって!!」