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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第5章 君のため






「……」


スマホを握るそよ香の手に力が入る。

くつろげる自宅に帰ってきたはずのに、

もうそこは恐怖の沼と化していた。


小さくなる沖矢の背中に向かって

そよ香は走り出す。



「待って…沖矢さん…!」



腕を掴もうとしたその瞬間、

沖矢が振り返りそよ香を受け止める形で止まった。



「…何かあったんですね?」


「……」


小さく頷くそよ香の顔は見えない。



「僕も一緒に入って良いですか?」



返事の代わりに、

そよ香はエントランスの自動ドアを開けに行った。












「これは…」


沖矢はそよ香の部屋をキョロキョロ見回す。

室内の不自然な様子に気がついたようだ。



「何か盗られたものは?」

「ありません」

「帰ってきてからどこか触りましたか?」

「…ほとんどそのままです」



そよ香はソファに腰をかけ

肩を落とす。



「部屋の中を見て回っても?」

「どうぞ…」




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