• テキストサイズ

【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第5章 君のため




(どうしよう…まさかアイツが…)



落ち着いて部屋の中を見回すと

違和感があった。



(綺麗すぎる)




引き出しは開いているが、中身を荒らされた形跡はなく、

床に物が散乱しているということもない。

盗まれたものもなかった。



「誰かが、わざと…?」





__ピンポーン、



「……!!」


静かな部屋にチャイムが鳴り響く。

恐る恐るモニターを確認すると、

沖矢の顔が映った。



__ピンポーン、


「お、沖矢さん?」


インターフォンの通話ボタンを押して話しかける。


「すみません、そよ香さんのスマホが

後部座席に置きっぱなしだったので、引き返してきました」


「えっ…あ、今そちらに行きます」



そよ香は握りしめていたリボルバーを

ビジネスバッグの中に突っ込み、

エントランスへ向かった。



「ありがとうございます。気が付きませんでした」

「僕も気づかず、すみませんでした。では…」



沖矢はそよ香の手にスマホを渡すと

身をひるがえし、離れていく。

コツコツと、革靴のかかとの音が徐々に小さくなっていった。




/ 272ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp