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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第5章 君のため





人間の身体から注射針で抜くものなんて一つしかない。



「血液採取?」



あのアザの数からして、1日に何度も刺されていたのだろう。

何のために?

そよ香の血を誰かに輸血でもしていたのか?



「…今日も眠れそうにないな」




僕は熱いお茶を淹れ直すと

ノートパソコンの電源をつけた。















「そよ香さん、忘れ物はありませんか?」

「はい、大丈夫です。お世話になりました」



一夜明け、そよ香が自宅に向かったのは夕方だった。

沖矢は午前中から用事があると言い、

出かけてしまっていたからだ。

荷物はビジネスバッグだけだし、

車で送ってもらうほどの距離でも無いため

自分で帰ると言ったのだが



「まだ病み上がりなんですから、大人しくしていてください」



と最もらしいことを言って、

引き止めたのだった。



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