【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第5章 君のため
「あーもう!ゼロもっとそっち寄れ!」
「寄ってるよ!ヒロが潰れるだろ!押すな!」
そよ香が助手席に乗ったため、
男3人で後部座席に座ることになった。
文字通り寿司詰め状態だ。
「いつもみんなこんな感じなの?」
「そうだよ~面白いやつらでしょ。
ほんとうはもう一人いるんだけどね」
学校から車を走らせること20分。
山道を1本曲がると、急に開けた場所に出た。
「ハギ、よくこんなとこ知ってたな!
誰もいねーじゃん!」
「だろ?デートスポットは俺に任せとけって!」
車を降りてからは、
バーベキューやビーチバレー、海水浴を楽しんだ。
そよ香は水着も持っていないし、
運動も苦手だと言って
ほとんど座って僕たちを眺めていたが、
とても楽しそうに笑っていた。
夕方になり、萩原と松田は遊び疲れたのか
ビニールシートの上で寝始めた。
「ゼロ、オレこの辺片付けとくから、
そよ香ちゃんと海入ってきたら?
せっかく来たんだし、足元だけでも」
「そうだな、ショートパンツだし、
膝くらいまでなら大丈夫だろ?」
「うん」