【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第5章 君のため
綺麗なカーブを描いて飛び込んでくる。
「…前にもこんなことなかったか!?」
ヒロがそういうと、ドッと笑が起こった。
それを見ていた彼女もつられて笑い出す。
「…ぷっ…あはは!!
あんたたち面白いね!」
初めてみた彼女の笑顔は
僕たちの作戦が成功したと教えてくれた。
「じゃぁ、改めて…俺は萩原研二!
こっちは親友の松田陣平ちゃん」
「よろしく」
「僕は降谷零。あだ名はゼロだ。こっちは…」
「オレは諸伏景光。ヒロで良いよ。君は?」
「…私は…そよ香。」
そよ香と名乗った彼女は素朴で可愛らしい
ごく普通の女の子に見えた。
「よっし!そよ香ちゃんこの後ヒマ?
俺たちと海行こうよ!」
「え?ヒマだけど…」
「そうと決まれば…さっさと行くぞお前ら!」
萩原はあっという間に
そよ香を連れてグラウンドを出る。
「…今さらっとナンパしたな?」
「いつものことだ。ってお前片付け手伝えよ!!」
トープを適当に畳んで、
そよ香と萩原の背中を追いかけた。