第2章 鉢屋三郎
日が降りる頃になんとか学園の門前まで帰ってきた私達。途中から木から木へと乗り移り最短でここまで私を背負い帰ってきた鉢屋先輩に頭を下げれば、気にしなくていいと頭にぽん、と手をのせられた
『っ…』
「あぁ、すまない」
『いっ、いえ…』
やはりまだ男性は苦手だけど、さっきより拒絶反応はましになっている気がする…。あの短時間ですこし成果が見えた気がして嬉しくなる。
「椎堂」
『はっ、はぃ…』
「今日はすまなかった…が、明日の相手は七松先輩だ気を引き締めておけ」
『はぇ……』
七松小平太先輩…私でも知っている危険人物だ…一番近付きたくない人でずっと逃げ回ってたし…暴君と呼ばれ、いつも元気なイメージがある力がおばけの先輩だ…そんな人が相手だなんて…私殺されてしまうのでは…
「早く入ろう。あまり遅くなると不審がられる…それに喜八郎にバレると面倒なことになりそうだからな」
『は、はいっ…』
コンコン、と門を叩きながらいう鉢屋先輩に頷くことしかできない私…喜八郎は過保護だし、先輩方と関わりを持たされることをひどく嫌がってたし…また何をしでかすか分かんないし…
「あ、お二人ともお帰りなさい」
『ご、ご苦労様です小松田さん』
門を開けてくださった小松田さんに頭を下げればこれが僕の仕事なのでと優しく言ってくださる。
「じゃあな椎堂」
『あっ、えと今日はお世話になりました…』
手を振り忍たま長屋の方へと向かう先輩に頭をさげ私もくのたま長屋の方へと向かう。
『(はぁ…怖かったぁ…)』
ふぅ、と息を吐けば緊張で強ばっていたからだはすーっと軽くなる
『(部屋に戻って、装束に着替えたらご飯食べてお風呂に入って今日はもう寝よう……)』
すごく疲れた…ここまで疲労を感じるのは久々かもしれない。あ、あんな事もあったし……
『(思い出すだけで恥ずかしい…鉢屋先輩は何であんなこと…)』
考えた所でわかりっこないし、態々聞くような勇気なんかも持ち合わせていない。
『(はぁ…明日も憂鬱だなぁ…)』
七松小平太先輩が相手…何もないといいけど…