第2章 鉢屋三郎
鉢「……」
『……っ、』
鉢「やはり体が痛いんだろ。このままでは日が暮れてしまうぞ」
『す、すみませっ……』
鉢「謝らなくていい。私にも責任がある…乗れ、こちらのほうが早い」
『えっ…』
しゃがんで背中を差し出す鉢屋先輩…の、乗っていいのだろうか…
鉢「早くしろ。日の出ているうちに帰らねば熊や猪たちに襲われてしまうぞ」
『は、はい…失礼します……』
鉢「…のったか?」
『のりました…(細いと思ってたけど意外とがっしりしてる…?)』
鉢「急いで駆け下りる。しっかりつかまっておけ」
『はっ、はい…!ぅわっ』
ダッと山道を颯爽と走り抜けて行く鉢屋先輩…すごいなぁ…私もいるのに……
鉢「平気か?」
『大丈夫、です……』
鉢「そうか…まぁ、もうすぐ裏々山の辺りが見えてくるはずだ。無理はするなよ、辛かったらきちんと言え」
『は、い…ありがとう、ございます…』
男性は怖いとばかり思っていたけれど、存外そうでもないかもしれない…