第9章 人殺しさんSide
電話を終え目の前に置かれたままの傘に悩む。
流石に此処に放置するわけにもいかない。
ビニール傘だし捨ててしまおうかと思ったが柄の部分に随分可愛らしいシールが貼ってあることに気が付きためらってしまった。
口封じだとかの口実に傘を返しに行くか…
そんなことを思いながら少女が走っていった方にフラフラと歩いていく。
少女の家など知るはずも無い。
路地を抜けるとすぐに住宅街の真ん中に出た。
宛もなく歩いていく。
都合よく少女が居るわけもなく日が暮れてきた。
タバコでも吸おうと薄暗い公園に足を運ぶが雨だったことを忘れていた。
濡れたときの味は苦手だ
ぼんやりしながらまたフラフラと歩く。
今日はいつもに増して頭が働かない…
人影に気づき様子を伺う。
今の自分の状況はただの不審者だ。
…服装も髪型も先程とは違うがさっきの少女の様な気がする。
傘の様子を見ていることで確信に変わった。
またなぜだかわからないまま話しかけてしまった。
淡々と会話が続く。
あんな状況の後にすごいななんて感心してしまう。
どのタイミングで切り出すべきか悩んでいる間に会話が終わってしまった。
もうめんどくさくなってきた。死体も処理されるし、少女が警察に行ったところで自分には繋がらないだろう。
帰るか。
少女は帰る様子はない。
二度と会うことはないだろうと思い一言だけ伝え歩き始める。
「待って!!」
言葉に振り返る
返事をする。
???家に誘われた。