第7章 6
「布団持ってきます!ちょっとだけ待っててくださいね!」
男からの反応は無かったがついてくる様子はないので客間に取りに行く。
奥の方で置きっぱなしになっていた布団を引っ張って廊下にいくと、男の人が待っていた。
「手伝う。」
そう一言言われ何も言えずに布団を半分持ってもらった。
そのままリビングの机をどけるのも手伝ってもらい、一番広いところに布団を引いた。
「こんな所でごめんなさい。私は部屋に戻りますね。二階なので何かあったら呼んでください」
「おやすみなさい」
準備が終わり、今日の予定は崩れてしまったが、寝ようと思っていた時間が近づいてきたのでそう言った。
「大丈夫。泊まってしまってごめん。」
「おやすみ」
軽く会釈をして上に上がろうとして立ち止まる
「…お兄さんの名前聞いてもいいですか?」
聞かないほうが見の為だと思い我慢をしていたのだが、とうとう我慢できずに聞いてしまった。
「… 俺が人殺しなの分かってて言ってんの?」
私を突き放すような強い言葉で言われた。
もちろんわかってる。
だが弱々しく“はい”と言う事しかできなかった。
「ヘェ~ 分かってて言ってるんだ。アハハ じゃあ、“人殺し”とでも呼ぶ?」
「まぁなんでもいいよ好きに呼んで」
イメージの人殺しらしく狂った様な、無気力の様ななんとも言えない、今日初めて見る雰囲気だ。
一瞬コレがこの人の本性かと思ったがなんだか違和感を感じた。
何も知らない人の事でおかしいとは思うのだが、言葉にも表せないがなんというか、言葉とは少しずれてる?そんなふうに感じた
流石に名前は教えてくれなかった。ただ、私は呼び名を知れたことに喜びを感じた
「おやすみなさい“人殺しさん”」
再び挨拶をし、二階へと行った。