鏡の国で魔法にかけられて…‧*˚✩︎‧₊˚【ツイステ】
第5章 レオナ 獅子様は仔猫を溺愛中꙳✧˖°⌖꙳

昔から俺の周りには媚び諂う奴ばかりだった。
金、権力、雌…誰も彼も何かを得るために俺を利用しようとする。
俺自身に価値など見出さないのに。
俺はあの人を飾るだけの存在なのに。
息苦しい。苛立つ。気持ち悪い。孤独だ。
俺は何だ?
俺は誰だ?
あの場所に俺の居場所なんてない。
「お前何か欲しい物とかねぇのかよ?」
「うーん…。レオナ先輩が耳をもふもふさせてくれる券とかですかね…?」
「ふっ…そんなのいつだってさせてやる。」
「ふふ…レオナ先輩はあったかいです。幸せだなぁ…。」
何も求めず、ただぎゅっと俺を抱きしめて幸せだと笑うあいつ。
初めて"第二王子の俺"ではなく、"ただ一人の男の俺"を見てくれた。
優しい。温かい。安心する。一人じゃない。
いつしかあいつの隣が俺の居場所になった。
莉冬。
どこで何してる?
学園中探し回ったのにお前の匂いがしねぇ。
他の雄に捕まったりしてねぇだろうな?
声が聞きたい。…会いたい。
「はぁ…。心配になるだろ…馬鹿」
ピコンっ。
そう呟いた瞬間、メッセージが既読になり、胸が高鳴る。
「あ"ぁ!?」
寝転んでいた俺はがばっと起き上がる。
ようやく来たあいつからの返信に怒りで手が震える。
なんだ?この定型文!?なめてんのか?
「あっ!レオナさんやっぱりここにいたんスね?午後の授業行きますよ!」
「ラギー…俺は今猛烈に機嫌が悪い。」
「まぁ…見たら分かりますけど…。授業には出ないとやばいっスよ!」
「放っとけ。」
「そう言えば…午前中の魔法薬の授業で、新入生が頭から魔法薬被って笑いましたよ。シシシっ…」
「あ"?」
「ほら。あの魔力がない生徒っスよ。魔力が無いとか本当気の毒っスよねぇ…」
「おい?そいつどうなった?」
「レ…レオナさん?目がマジじゃないっスか…あの新入生と仲良いんスか?」
「どうなったかって聞いてんだよ?」
ガルルルルっ…
その鬼気迫る表情にラギーはごくっと唾を呑み、その場にへなへなと座り込む。
「あっ…あぁ…。クルーウェルが咄嗟にコート被せて抱き抱えていきました。」
「ちっ…クルーウェルか…。なんの魔法薬だ?」
「簡単な変身薬っスよ。変身するのも犬とか猫とか…」
「へぇ…」
ニヤッと含み笑いをしたレオナは立ち上がり歩き出す。
「ちょ…!レオナさん!授業は!?」
「俺はサボる。大事な用を思い出した。」
