鏡の国で魔法にかけられて…‧*˚✩︎‧₊˚【ツイステ】
第1章 プロローグ꙳✧˖°⌖꙳
「貴方がもしこの狸をしっかり監視して世話すると言うのなら、貴方の相棒として入学を認めてあげない事もないのですが…」
「本当か!?俺も入学できるのか!?おいお前!俺の子分になるんだゾ!」
「えぇ?そんなっ…」
「どうせお前は帰る場所がないんだゾ!俺と一緒に入学するんだゾ!」
「確かにそうだけど…。じゃあもう火を吐いたりしないでね?仲良くしよう。」
「仕方ないから仲良くしてやるんだゾ!」
その強気な言葉とは裏腹に、私が身体を撫でると嬉しそうに目を細めるグリムはとても愛らしい。
「学園長!もしやお忘れではないですよね?ナイトレイブンカレッジは男子校。そんな狼の巣窟に仔犬を放てば…」
「クルーウェル先生。もちろんそこは私に考えがありますよ。…それっ!」
「えっ!わぁぁ!」
学園長が私に杖を向けると眩しい光が全身を包み、腰まである栗色の長い髪が短くなり、女性らしい膨らみのある身体付きが平たくなっていく。
「わっ…私…?」
「お前…男みたいなんだゾ!!」
部屋の鏡に映る自分の姿に驚愕しながら、グリムと顔を見合わせる。
「完全に男性ではないですがね。見た目を少しだけ男性に変えて差し上げました。…私優しいので。」
「わぁ!魔法ってすごい!」
「そんなに驚かれると照れますね。しかし魔法は"完全無欠"ではありません。貴方自身が魔法を維持する力がない時や、より強力な魔法を浴びた時などは解けてしまいますので用心してくださいね。」
「はいっ!」
「グリム君。しっかり彼女を守ってあげてください。」
「俺が子分を守ってやるんだゾ!」
「そしてクルーウェル先生…。私の目が届かない時は彼女をお願いします。」
「はぁ…。かしこまりました。」
クルーウェル先生は私の顎をぐっと掴み、鋭い瞳で見据える。
「いいか仔犬?お前の周りは飢えた狼だらけだ。一秒たりとも気を抜くなよ?」
「わ…分かりました!」
「Good "boy"!俺に迷惑をかけずいい子にしてたらご褒美をやろう」
クルーウェル先生の少し強引な言葉と仕草にドキドキと胸が高鳴るのを必死に隠し、私はグリムをぎゅっと抱きしめた。
「では貴方達の寮へとご案内しますよ。
さぁ…行きましょう。」
こうして私のドキドキハラハラなナイトレイブンカレッジでの生活が幕を開けた。