第2章 冷たい胸に火が灯る
「いえ、ジャーファル様。どうか私をジャーファル様のものにしてください。引き返すくらいなら、最初から引き止めたりなどいたしませんから」
緊張がなくなったわけでもない。震えが止まったわけでもない。それなのに、抱いてくれと、ジャーファルのものにして欲しいと、瞳をうるませて懇願する#NAME1#を、ジャーファルは息を飲むほど美しいと思った。怖いはずなのにそれを押し殺して自分を求めるこの女性を、ジャーファルは絶対に不幸にはしないと心に誓う。
「#NAME1#」
ジャーファルは名前を呼ぶと、#NAME1#に触れるだけのキスをした。柔らかい#NAME1#の唇を、己の唇で塞ぐ。
「唇、冷たいですね。緊張してる?」
「っ…は、い…」
#NAME1#はジャーファルの問いに素直に答えた。それにジャーファルはクスリと小さく笑むと、またも#NAME1#の唇を塞いだ。ちゅ、ちゅ、と啄むようなバードキスを何度か浴びせ、少し長めに口を塞ぐ。
「っ、ふ…」
キスの合間に、緊張から#NAME1#の声が盛れるのを、ジャーファルは目を細めて享受した。最後にチュッ…とリップ音を立たせて唇を離す。
「どう?少しは慣れたかな」
「は、はい…多分…」
しどろもどろに答える#NAME1#に、まだ緊張していることを悟ったジャーファルは、ドサッ…と#NAME1#をベッドに押し倒した。パチパチと目を瞬かせる#NAME1#を横目に、おでこにキスを落とす。
「#NAME1#はこういうこと、初めてですよね」
目尻、鼻先、頬、耳。あらゆる場所にキスを落としながらジャーファルがそう言うと、#NAME1#は恥ずかしそうに「はい…」と返事をする。