第6章 お屋敷での生活
「ただいま戻りました!」
「無事帰ってきたな。迷わなかったか?」
斉藤さんが笑顔で迎えてくれる。
「それが帰りに一ヶ所間違えてしまいまして…でもすぐ気づいてちゃんと戻って来れました」
「まだ間違えるなんて、ノブらしいな。まぁちゃんと帰ってこれたし、合格点かな」
「本当ですか?嬉しいです!!これで斉藤さんは明日休みですねっ!」
「だから、何で俺の休みをお前が心配する?」
怪訝そうな顔で斉藤さんから見られる。
「んじゃー、私から斉藤さんにお礼です!明日のお休みはお屋敷に来ていた時間に、甘味屋さんに行ってください。明日は華子さんの買い出しのお手伝いをしてくださいね」
「はあぁぁーっ?!お前、何考えてんだーっ!!」
斉藤さんは真っ赤な顔で怒っている。
「だって斉藤さん、華子さんのこと好きでしょ?このままじゃ何の進展もしなさそうでしたので。とりあえず約束は取り付けてきたので、後は斉藤さんがどう頑張るかです」
「だからって、おい。どうすんだよ…」
急に気弱になる斉藤さんが、ゴニョゴニョと言う。
「どうするもこうするも、明日はちゃんと買い出しのお手伝いをするんです。華子さんも男手があると助かるって言ってました。一日いれば話もたくさんできますし。次の約束はちゃんと自分でしてくださいよ。分かりました?」
「…ああ。分かった。俺も男だ。覚悟を決めた。ノブが取り付けてくれた約束だ。頑張ってくるよ」
「良かったです。断られたら、実弥さんにお願いしないといけない所でしたから」
「えっ?不死川様にっ?」
「おい、誰が代わりだァ」
「あぁ、不死川様、申し訳ありません…」
突然実弥さんが口を挟んできたものだから、斉藤さんはその場で土下座をして謝っている。
「実弥さん、斉藤さんから合格出たので、斉藤さんに来ていただくのは今日までと言うことでよろしいでしょうか?」
「ああ、そう言う約束だァ。斉藤、ノブが世話になったな。明日は休みだ。どこへでも好きに行ってこい」
「ありがとうございます、不死川様!」
正座したままだった斉藤さんはそのままの状態でお礼を言う。