第6章 お屋敷での生活
さあ、最後の試験!買い物だ!道順の紙は持ったから大丈夫だ!
「では、行ってきます!」
「ちゃんと確認しながら行くんだぞ!」
「はぁーい!」
斉藤さんに見送られ出発する。道順の紙を何度も確認しながら行けば、無事に間違わずに到着した。必要な物を購入し、最後に甘味屋に向かう。赤い幟が見えれば、ほのかに甘い匂いがする。暖簾をくぐり、店の中に入る。
「こんにちは。一日ぶりですね、華子さん」
「あーノブちゃん、たった一日なのに随分久しぶりな気がするわ。あら?今日は一人なのね」
華子さんがキョロキョロと見回している。そんな姿も可愛らしい。
「はい。今日はちゃんと一人で来れるか試験中なんです。これで合格できたら、晴れて斉藤さんから卒業なんです」
「ふふふ。私は二人のやり取りを見れないと寂しくなるわ」
いやいや、夫婦漫才はもう終わらせて頂きたい。斉藤さんのために今から一肌脱がなければ!
「そう言えば、明日はお店お休みでしたよね?」
「そうなのよ。今日はおはぎ多めに買ってね」
「はい。おはぎは六つでお願いします!そうそう、明日のお休みは買い出しでしたよね?ぜひ斉藤さんに荷物係をさせて貰えませんか?」
「え?そんな悪いわよ」
「でも、お父さんは足が悪いし、華子さんも女性だからそんなに持てないでしょ?」
「そうだけど…」
「斉藤さんは意外と力持ちですし、明日は休みなんです!斉藤さんは休みでもする事ないんで、ぜひ使ってやってください!あと、斉藤さんには許可取ってるんで大丈夫ですよ」
「ええ、でも悪いわ」
なかなかうんと言ってくれない。もう少し押してみる。
「大丈夫ですよ、華子さん。本当暇過ぎて、お休みの日はもて余してるんですから。人助けだと思ってお願いします!」
深く頭を下げる。
「もう…ノブちゃんには負けたわ。本当申し訳ないんだけど、男手があると助かるし。明日は斉藤さんにお願いできるかしら?」
「大丈夫ですよ!ありがとうございます、華子さん」
明日の詳細について確認し、おはぎを手に店を後にする。これで斉藤さんへのお礼ができた。あとは、斉藤さんにがんばって貰うだけだ。ニヤニヤしながら、屋敷まで戻ってきたのだった。