第23章 岩柱のお屋敷
【実弥side】
どうせ、毎日何も考えずに生活してんだろ。何だかんだで、悲鳴嶼さんにもかわいがってもらってるようだ。
悲鳴嶼さんに向かって、ケラケラと馬鹿みたいに笑うノブの姿が想像できた。
そんな事を考えていたら、また苛立ちが募ってきた。
「クソッ!」
手にしていた手紙を握りしめ、苛立ちのままに机に投げ捨てる。
何もかも苛つく。
腹の奥底にドロリとした黒い感情が微かに蠢き出す。
あいつが来てから、ずっとだ。
あいつの言動に振り回されて来たが、いなくなってもまだ俺を振り回す。
どれだけ迷惑をかけていくんだァ。
「チッ!」
こういう時は体を動かすに限る。
今日もさっさと鬼狩りに出れば、余計な事は考えずに済む。
とりあえず飯を腹に入れ、屋敷を後にする。
自分の持ち場を隅から隅まで走れば、何処かで鬼に遭遇するだろう。
俺の稀血を使ってもいい。
煩く言う奴はもういない。
とにかく、俺は鬼を殲滅させるだけだァ。