第6章 お屋敷での生活
「今起きたばかりの様ですけど、食べるみたいなので持って行って来ますね。斉藤さんはもう食べててくださいね」
「分かった」
斉藤さんの分まで準備して、実弥さんの部屋に行く。
「実弥さん、昼食お持ちしましたよ」
なぜか返事がない。
「実弥さん、入りますよ」
襖を開けると、布団にくるまって二度寝している実弥さんがいた。
「可愛い…」
寝ている姿も顔も子どものようで、釘付けになる。机にそっと置き、実弥さんの傍に座りじっと寝顔を見る。よく見ると本当に整った綺麗な顔だ。余りにも気持ち良さそうに寝ているものだから、ついつい頭を撫でる。思っていたより柔らかい髪の毛は撫でる度にふわふわとなる。
余程疲れていたのだろう。私にこんなことをされて起きないとは。
「鬼が来たら、殺されてしまいますよ」
ポツリと呟くと、実弥さんの目が開き、覗き込む私の目と合う。
「…何でいる」
「食事持ってきましたよ。よく寝れたみたいで良かったです」
実弥さんの頭から手を離す。
「何してたんだァ?」
寝起きは悪いのかもしれない。
「余りにも気持ち良さそうに寝ていたので、頭を撫でてました。あ、大丈夫ですよ、襲ってませんから」
「…さっさと出ていけェッ!!」
実弥さんは怒ってしまったようだが、笑顔で部屋から出る。襖を閉めながら言う。
「実弥さんの寝顔、とっても綺麗でしたよ!」
「…馬鹿野郎ッ!!部屋に入ってくんなァッ!!」
怒号が響くが、照れての事だろう。耳まで真っ赤になっていたのがチラリと見えた。いいものが見れたと、笑顔で部屋に戻る。
「おい、今のは何だ?何をやらかしたんだ?ってか、お前その顔、ニヤニヤしてて気持ち悪いぞ」
「ふふふ。実弥さんの寝顔見てきました。凄く綺麗でしたよ。髪の毛もふわふわで…」
「おい…何してるんだよ。不死川様によく殺されなかったな」
「大丈夫でした。あーあの顔、写真にして部屋に飾っておきたいですッ!」
「それは止めとけ。追い出されるぞ。本当、怖いもの知らずだよなぁ、ノブは」
「そうですか?ふふふ」
「顔がおかしいぞ!ほら、さっさと食べろ!」
「はぁーい」
実弥さんの顔を思い出してはニヤニヤするもんだから、斉藤さんから「顔!」と何度も言われてしまった。