第6章 お屋敷での生活
昼食を食べ終わると、買い物に出かける。道順を書いた紙のお陰で、ほぼほぼ迷わずに行けるようになってきた。最後に寄るのは甘味屋さんだ。
「こんにちは、華子さん」
「あら、ノブちゃん、斉藤さん。いらっしゃい。いつものでいいかしら?」
「はい。お願いします」
「そうそう、ノブちゃん。三日後なんだけど、お店お休みするから」
「分かりました。明後日は多めに買わないといけませんね。お店のお休みは決まってるんですか?」
「ううん。材料がなくなりかけたらお休みにするの。隣町まで買いに行くからね。結構大変なのよ。一日がかり」
「華子さんが行くんですか?」
「えぇ。父も行くけど、あまり足が良くないから少しずつしか買ってこれなくて。またお休みする時は事前にお知らせするからね」
「ありがとうございます。でも大変ですね。誰か手伝ってくれる人はいないんですか?華子さんの恋人とか?」
「何言ってるの、ノブちゃん。そんな人、いないわよ。こら、からかわないの」
真っ赤になる華子さんはかわいい。そんな華子さんを見て斉藤さんは固まっている。
「からかってないですよ!華子さん綺麗だから、男の人が放っておかないでしょ」
「もう。本当そんなことないんだから。はい、今日の分よ」
「じゃあ、また来ます」
固まった斉藤さんを引っ張り出ていく。少し歩いてから斉藤さんに声をかける。
「斉藤さん。良かったですね。恋人はいないようですよ」
「ッッ…馬鹿野郎ッ!!先に帰るッ!」
真っ赤になって、走って帰っていった。それ程衝撃だったのかなぁ。それともう一つ、良いこと思い付いたぞ!
「フフフフッ」
一人、笑いながら帰る。すれ違う人に変な目で見られてるとも知らずに…。