第6章 お屋敷での生活
斉藤さんと一緒に朝食を食べ、その後は洗濯をする。さすがに今日は量が多いが、二人だと終わるのも早い。
洗濯が終われば掃除をする。それが終われば昼食の準備だ。今日は実弥さんはお部屋から出てこない。斉藤さんに聞くと、報告書を書いているんじゃないか、とのことだった。
何だかんだで、柱は大変だなぁと思う。
昼食を持ち、部屋の前で声をかける。
「実弥さん、昼食お待ちしましたよー」
「あぁ」
襖が開き部屋を覗くと、机の回りに紙がいくつか置いてあった。
「書き物ですか?」
「報告書をなァ」
斉藤さんが、言ってた通りだ。ただ鬼を倒してるだけじゃないんだなぁ。
「大変ですねぇ。私はなかなか筆で書くのが慣れません」
「お前の字は本当下手くそだもんなァ。子どもより下手だぞ」
「仕方ないです。だから、実弥さんにお手紙書いて、練習させてもらってます。また書きますね」
「まぁ、書けるだけいい」
遠くを眺めながら実弥さんが言う。
「ん?実弥さんは上手いんですか?」
「…俺は文字は読めるが、書けねぇんだよッ」
「えっ?そうなんですか?じゃあ、この報告書は誰が?」
報告書をチラッと見たが、めっちゃ達筆だ。私より間違いなく上手い。
「隠に書いて貰って、それから俺が確認している」
知らなかった。上手に書けるものだとばかり思っていた。
「そうなんですね。じゃあ、私が上手に書けるようになったら、隠の方の代わりに私が書きますよ!」
「ほう。それは、いつになったらできるようになるんだァ?」
上から見下すように、ニヤニヤしながら見られてる。いや、実際実弥さんの方が背が高いから、見下されてるんだけど…。
「それは、いつになるか分かりませんが、がんばりますよ!隠の方の仕事も一つ減りますし。毎日頑張って実弥さんにお手紙書きますね」
「まぁ期待はしないけどなァ」
「じゃあ、ご飯食べたら台所に持ってきてくださいね!」
くるりと実弥さんに背を向け、台所に戻った。