第6章 お屋敷での生活
朝だ。久しぶりにぐっすりと熟睡できた気がする。グーッと、腕を挙げ伸びをする。
「さぁ、今日も一日頑張るぞぉ」
大きめの独り言を言い、起き上がる。ちょうど一週間。やらなければならないことは分かってきた。できればあと五日で終わらせたい。それまでは斉藤さんにしっかり教えていただかなければ!
ちょこちょこと台所で動き回っていると、実弥さんがお盆を持ってきた。
「おはようございます、実弥さん。お皿持ってきて下さったんですね。ありがとうございます」
実弥さんの手からお盆を受けとる。
「いや、昨日片付けとこうと思ってたんだが、流石に寝ちまった」
「大丈夫ですよ。今日からは気にせず置いてて下さいね。朝ついでに洗っちゃいますから」
「ああ」
「そういえば、実弥さんの好きな物って何ですか?」
「何でだァ」
「手当てさせてもらった時にも聞いたでしょ。教えて下さい。斉藤さんがいる間に習えるものは習っておきたいんですから。このままじゃ、私の中で実弥さんの好物は、おはぎになっちゃいますよ」
「…」
なかなかしぶとい。実はおはぎが好きだなんて、実弥さんの口から聞きたいんだけどなぁ。言わないよなぁ、やっぱり。
「いいんですか?私、馬鹿の一つ覚えみたいに、出し続けますからね。嫌になったら、ちゃんと好きな物教えて下さいね」
「…あぁ」
まぁ、実弥さん、おはぎ好きだから毎日出しても大丈夫だろう。
「朝食ができたらお部屋にお持ちしますので、その時に洗うものがあったら出してくださいね」
「分かった」
実弥さんはそのまま部屋に戻って行った。朝食の準備をしていると斉藤さんがやってくる。
「おはよう!だいぶ慣れてきたな」
「はい。もうご飯も炊き上がったので、実弥さんのお部屋に持っていって来ますね」
お盆を持ち、部屋の前で声をかける。
「実弥さん、朝食お待ちしました」
「あぁ」
襖が開き、実弥さんがお盆を受け取る。襖の側を見れば洗濯物が山積みにされている。
「これで全部ですね。じゃあ貰っていきます!出して下さっててありがとうございます。あ、両手が塞がってるので、襖はお願いしますねー」
両手で抱えて洗濯場まで持っていく。とりあえずたらいへ入れ水に浸けると、台所へ戻った。