第6章 お屋敷での生活
実弥さんがいなくても朝は来る。そして、斉藤さんもだ。今日も斉藤さんに怒鳴られながら、仕事をこなす。途中で買い物にも行った。今日はまだ帰って来れないだろうけど、おはぎを買った。
斉藤さんが帰り、また夜が来る。実弥さんの無事を祈りながら布団に横になると、気づけばもう朝になっていた。
ふと隣の部屋を見るが、まだ部屋の主は戻っていないようだ。今日も昨日と同じように時が流れていく。
夜になり、一息つく。実弥さんに買ったおはぎを頬張る。今、実弥さんは鬼と対峙しているのだろうか。怪我はしてないだろうか。不安になるのを押し止めるように、おはぎを口に運ぶ。
大丈夫だ。無事にここに帰ってきてくれる。そう思い、最後のおはぎを口に入れた。
実弥さんが出ていってから、三日目の朝がきた。隣の部屋の主はまだ戻っていないようだ。
実弥さんは二、三日と言っていたから、問題がなければ今日には戻ってくれるんじゃないかな、と自分に言い聞かせる。
今日もやることはたくさんある。斉藤さんも来て、一緒にやっていく。
「まだ不死川様は戻ってきてないんだな」
「はい。でも今日戻って来ますよ、多分」
「そうだな」
まだまだ指摘されることは多いが、日に日に少なくなってきた。もう斉藤さんから習い始めて六日目になる。そろそろ折り返し地点だ。指摘されないでできるようにならないといけない。
今日もまたあっという間に時間が過ぎていく。気づけば夕方だ。
「そろそろ帰るな」
「今日もありがとうございました!」
斉藤さんを見送り、そのまま空を見上げる。きれいな朱色に染まっている。まだ実弥さんは帰って来ない。でも大丈夫だ!自分に言い聞かせる。
「さぁ、さっさとご飯食べて、寝る準備まで終わらせるぞー!」
自分に気合いを入れるため、いつもの独り言より大きめの声だ。藤の花のお香を焚き、ご飯を食べる。もう外は暗い。