第6章 お屋敷での生活
【実弥side】
あいつには調子を狂わされっぱなしだ。腕の包帯を触りながら思い出す。
「実弥さん、怪我してるじゃないですかっ!気をつけて下さいって言ったのに。昨日は会議じゃなかったんですか?もうっ!何して来たんですか?手当てはちゃんとしました?包帯巻いてるだけじゃダメですよ。放っておくとなかなか治らないんですからねっ!」
「もうっ。鬼狩りじゃなくて会議で怪我するなんて。いくら強いからと言っても、生身の人間ですよ!体は大事にしてくださいっ!」
こんなに一気に台詞が出てくるのかと、正直驚いた。それが怒涛のように続く。自分の心配をされたのはいつだったか。カナエと、最後は匡近かもしれない…。そんなことを考えていたら、話を聞いてなかったようだ。
「返事は?聞こえませんよ!」
聞いてなかったとは言えず、怒りぎみに答える。
「いや、何でお前にそんなに言われなきゃならねェ」
「実弥さんは、お母さんがお腹を痛めて産んだ、大切な子どもなんです。例え実弥さんが大丈夫でも、ダメです。今は鬼狩りで怪我するのは、まだ仕方ないですけど。それでもです!少しは自分を大切にしてください!」
まただ。こいつは俺の体を心配している。こんなに真正面向かって言われると、言われ慣れてないからむず痒ィ。でも、子ども扱いするのはどうだァ?いくら記憶は四十でも、見た目は俺より下だぞ。だけど、こいつに言われたら、最終的には拒否できねぇ説得力というか、勢いというか、雰囲気があって、納得はいかないんだが「分かった」って言っちまった。
でも、その日のあいつは、何かおかしかった。いや、元々おかしいんだが、その日は精神的に不安定だった。