第6章 お屋敷での生活
もう一度、火の付け方を習う。時間はかかったが、一人でできた。
「やった!できた!」
「よし、それでいい。何回かやってればコツは掴めてくる」
「はい」
それから朝食を作ったら、二人で食べる。そして食べながら、今日の予定の作戦会議だ。
「今日も買い物に行くんだろ?」
「はい。今日こそ一人でお店まで辿り着きたいんです」
「じゃ、今日はこの後行くか。ノブがどれだけ時間がかかるか、分からないからな」
「そうなんです…すんなり行けたらいいんですけど。行ける自信が全くないんです」
「おい、そこは少しは自信を持てよ。俺が詳しく道を教えてやったんだからな」
「はい…がんばります」
食事と作戦会議を終え、片付けをする。まだ実弥さんは寝ているようだ。
「よし、ノブ、行くぞ。道順を書いた紙は持ってきたか?」
玄関先で斉藤さんに確認され、忘れていたことに気付く。
「忘れてましたっ!急いで取ってきます!」
回れ右して、自分の部屋に戻る。
「これがないと絶対行けないのに」
ぶつぶつと呟きながら机の上の紙を取り、玄関に戻る。
「お待たせしました!」
「何で一番大事なものを忘れるかな、お前は」
「斉藤さんのお陰で出発できます。ありがとうございます。では行きましょう」
元気よく進み出す。道順が書いてある紙を見てないので、早速反対方向に進み出す。
「おい、ノブ。手に持っている紙はなんのためのものだ?いきなり間違えてるぞ!」
「えぇ?いきなり間違えてます?ここは大丈夫だと思ったんですけど…道順書いてましたっけ?…えっと、すみません。書いてました」
流石にスタートから間違えていては、今日もたどり着くわけがない。なぜ、道順の紙を確認しないんだと、頭を抱える斉藤さんだった。