第6章 お屋敷での生活
玄関が開く音で目が覚めた。実弥さんは無事に帰ってきてくれたようだ。廊下を進み、部屋に戻って行った。おはぎは食べてくれているだろうか。そういえば、実弥さんにはおはぎのことを聞いていなかった。今日は聞いてみなければ、と思う。
さて、目が覚めてしまったが、今起きてしまうと実弥さんと鉢合わせしてしまうだろう。昨日泣きすぎたせいか、少し瞼が腫れぼったい。この状態を見れば、泣いたことがバレてしまうだろう。
実弥さんが寝てから起きようと思い、布団の中でゴロゴロとしていると、睡魔が襲ってきた。
睡魔には勝てず、いつの間にか二度寝をしていた。気付けば、暗かった空はもうだいぶ明るくなっていた。
急いで起きて、家事を始める。実弥さんの部屋の襖は閉まっていた。今日はお皿がないので、まだおはぎは部屋にあるようだ。
今日こそは竈に火をつけようとやってみるが、なかなか難しい。また今日も斉藤さんと一緒にしなければならない。取りあえず米を研ぎ、洗濯を始める。少し洗ったところで、斉藤さんがやってくる。
「今日も火はつけれなかったのか?まぁいい。今日は先に洗濯を終わらせるぞ!」
「はい!」
二人ですると、終わるのも早い。まだ汚れが落ちてないとか、もう少ししっかり絞れとか、言われるものの、コツは少しずつ掴めてきた筈だ。洗った洗濯物を物干し竿に干す。これだけ洗ったのだという達成感がある。
洗濯機という便利なものに頼っていたが、やってみると手荒いもきついが楽しい。汚れが綺麗になるのが実感できる。
「洗濯って、疲れるんですけど、すごく楽しいですよね」
「そうかぁ。俺は掃除の方が好きだけどな」
「確かに、掃除は指摘されまくりですもん」
「お前が雑なだけだ!さぁ、他もさっさと終わらせるぞ。少しは覚えてきてるみたいだから、がんばれよ、ノブ」
「はい」
少しずつ成長できているようだ。珍しく斉藤さんが誉めてくれたのだった。