第6章 お屋敷での生活
「おはようございます、実弥さん。よく眠れましたか?」
昼前には実弥さんが起きてきた。
「おはようございます、不死川様。おい、ノブ。名前だよ、名前!」
「違うんです!私、実弥さんに実弥さんって呼んでいいって言ってもらったんですよ。だから、大丈夫なんです」
「はっ??」
「こいつは鬼殺隊員でもねぇしなァ。今更、様付けされたところで、気持ち悪い」
「…はい。承知しました」
斉藤さんが目を見開いて驚いているのが分かる。まさか実弥さんが許可するとは思わなかったのだろう。
「まぁ、こいつは最初っから失礼極まりない奴だしなァ」
ニヤニヤしながら実弥さんが見ている。
「そんなことはないですよ!得体は知れないけど、怪しい奴ではないです!おかしなことはしてますけど…」
「自分が一番分かってるじゃねぇかァ」
「また説明がおかしくなってますよね、私」
「ノブ、得体が知れない時点で、かなり怪しいぞ!矛盾しまくりだ。やっぱりお前、馬鹿だろ?」
「実弥さんも斉藤さんも、ひどいです!」
斉藤さんは呆れ顔で笑っている。実弥さんを盗み見れば、呆れ顔だが幾分表情が柔らかく見える。
「そういえば実弥さん、お昼ご飯はどうされますか?」
「今から稽古だァ。後から食う」
「承知しました。お部屋に準備させて頂きます。私達は先に頂き、買い物に行って参ります」
「おう」
実弥さんは背を向け、道場へと続く廊下を歩いていった。私達はその後ろ姿を見えなくなるまで見ていた。