第6章 お屋敷での生活
実弥さんは優しい。私が勝手に心配して言ったのに、怒ることもなく、聞いてくれた。怒鳴られても仕方ないようなことも勢いに任せて言ってしまった。
母親の話は出すべきではなかった。
でも、あまりにも自分の体を大切にしない実弥さんが、もし自分の子どもだったら、ひどく悲しいと思ってしまったのは事実だ。
お腹を痛めて産んだ子は、幸せになって欲しい。自分の幸せは二の次だ。自分は傷ついても、子どもは傷つかせたくない。
だから、実弥さんにはもっと自分の体を、自分の事を大切にして欲しい。
今回は自分の溢れる気持ちを押さえきれず、勢いで言ってしまった。突然の事に唖然としたと思う。でも、少し、ほんの少しでいいから、この気持ちが伝わっていて欲しい。
誰もいない廊下を見ながら、佇んでいた。