第6章 お屋敷での生活
「そういえば昨日は柱合会議、お疲れ様でした。遅くなったみたいですね。あーッッ!!!」
実弥さんの腕の包帯に気付き、指をさす。
「何だァ?」
「実弥さん、怪我してるじゃないですかっ!気をつけて下さいって言ったのに。昨日は会議じゃなかったんですか?もうっ!何して来たんですか?手当てはちゃんとしました?包帯巻いてるだけじゃダメですよ。放っておくとなかなか治らないんですからねっ!」
「お、おぅ…」
一息で言い切るノブに実弥は驚き、中途半端な返事になる。
「何なんですか、その返事は。もうっ!ちゃんと見せてください!」
実弥さんの腕を掴み、包帯が巻かれている部分を見る。
まだ驚いている実弥はされるがままだ。
「血は滲んでなさそうですね。きちんと包帯も巻いてあるし。ちゃんと手当てしました?」
「胡蝶がいたからな。手当てはした」
「もうっ。鬼狩りじゃなくて会議で怪我するなんて。いくら強いからと言っても、生身の人間ですよ!体は大事にしてくださいっ!」
「……」
まさか無視ですか?
「返事は?聞こえませんよ!」
「いや、何でお前にそんなに言われなきゃならねェ」
「実弥さんは、お母さんがお腹を痛めて産んだ、大切な子どもなんです。例え実弥さんが大丈夫でも、ダメです。今は鬼狩りで怪我するのは、まだ仕方ないですけど。それでもです!少しは自分を大切にしてください!」
「……」
「もうっ。返事が聞こえませんっ!聞き分けのない子どもですか」
「誰が子どもだァ!」
「都合が悪くなると黙るとこです。うちの子と変わらないじゃないですか!……あぁ、すみません…。今の発言は気にしないでください。とにかく、手当てはさせてくださいね」
子どものこと思い出してしまい、途端に冷静になる。いくら怪我をして欲しくないと思っていても、流石に言い過ぎた。自分の気持ちを押し付けられても、気持ちの良いものではないだろう。
「……分かった」
「実弥さん、色々と勝手なことばかり言ってすみませんでした」
「あぁ。とりあえず俺は今から寝るから、静かにしてくれよォ」
「はい。おやすみなさい、実弥さん」