第6章 お屋敷での生活
【実弥side】
何であんなに話を聞かない奴らばかりなんだ。間違いなく勘違いされたままだ。よくあれで柱が勤まるな。
柱合会議のことを思い出し、溜め息をつく。
隣の部屋からは寝息が聞こえる。
「お前のせいでこんなに疲れたのに、すやすやと気持ち良さそうに寝やがって…」
独り言が部屋に響く。
ふと机を見ると、会議に出る前にはなかったものがあることに気付く。近づき見ると、書き置きとおはぎが二つ置かれていた。
『不死川様
会議お疲れさまでした。
疲れには甘いものがいいそうですよ。
食べて下さいね。でも、もし苦手でしたら
私が食べるので、そのままにしててくださ
いね。 ノブより』
下手くそな字で書いてある。会議をどんなもんだと思ってるんだァ、こいつは。会議では疲れねェ。今日はその後のあいつらとの会話で疲れただけだァ。
ってか、原因はお前だかなァ。
「フッ。本当下手くそだなァ」
あいつの気遣いに少し顔が緩んだのを、自分で隠すかのように呟く。
おはぎを口にすると、ちょうどよい甘さが口に広がる。
食べ進めるうちに、さっきまでのイライラしていたのが収まってきていた。
「あいつ、俺がおはぎを食ってたら驚くだろうなァ。たぶん明日自分が食べれると思ってる。見物だなァ」
あいつの間抜けな顔を想像し、ニヤリと笑う。
二つ目のおはぎを口にする頃には、すっかり気持ちは落ち着いていた。