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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第22章 兄と弟


「あ~、華子さ~ん!そうですよね。できることって限られてますよね。うん。私、できることを頑張ります。ありがとうございます」

できることは、限られている。
それは誰でも当たり前の事。

華子さんから言われるまで、自分ができない事ばかり目が向いていた気がする。
できる事は限られているから、できないことも多い。
できることをすればいい。

言葉にすると、とても簡単な事なのに。私は答えのない謎解きをしていたような気がする。
できない事に目を向けるんじゃなくて、今の私ができることに目を向ける。そうすれば、いつかはできない事もできる状態になっているかもしれない。

そう思うと、急に肩の力が抜けたような気がした。

「その調子、その調子。ノブちゃんは笑ってる方がいいわ」

「ふふふ。ありがとうございます!元気出ました」

「なら良かった。無理しちゃだめよ」

「はい。じゃあ、また来ますね」

いつもより多い荷物を抱えながら、屋敷への道を急ぐ。
随分と日が昇っているが、まだ正午にはなっていない筈だ。

「ただいま戻りました~」

いつも通り、返事のない挨拶をして台所に入る。
荷物を机に置き、実弥さんの部屋を確認する。まだ襖は閉まったままだ。

実弥さんが起きるまでに終わらせよう。そう思い、急いで昼食の準備に取りかかる。
今日は卵焼きを作ろう。魚も焼いてと。あ、残りは晩御飯に使うかな…
頭の中で色々と考えながら、作業を進めていく。

「お前さァ、本当にいつも喋ってるんだなァ」

突然後ろから声がかかる。だけど、何だかおかしな事を言われた気がする。

「あ、実弥さん。おはようございます。今は喋ってないと思うんですけど」

「いや、ブツブツ言ってたぞ。今日の晩飯に使うとか」

はっ?実弥さんの言葉が一瞬飲み込めなかった。私がブツブツ言ってた?

「えっ?嘘?声に出てたって。嘘ですよね?」

到底信じられない事実だ。嘘だと言って欲しい…懇願するような思いで聞いてみたが、どうやら答えは私の望んだものではなかった。

「ハァッ。俺がお前に嘘ついてどうする」

眉間に皺を寄せて、呆れたように言われる。

その通りだ。
その通りなんだけど…


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