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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第22章 兄と弟


「それじゃあ、急いで終わらせますかね」

そう呟きながら、午前中に終わらせておかないといけない家事に取りかかる。
午前中でなくてもいいものは後回しだ。

いつもより急いで、でも実弥さんが寝ているので静かに作業を進めていく。
ある程度終わらせた所で、甘味屋へ向かう。

「あら、ノブちゃん。今日は早いのね」

開店したばかりの店に滑り込むと、少しだけ驚いた顔の華子さんに迎えられた。

「はい。急に手土産を持っていく事になったので」

「そうなのね。開店したばかりだから選び放題よ。どれにする?」

たくさんの種類の甘味が並んでいて、どれも美味しそうだ。

「この練り切り達を全部二つずつと、おはぎを10個下さい。それとは別にいつものおはぎをお願いします」

「あら、かなり多いわね。準備するから待ってて」

「はい」

華子さんが包んでくれている間は店内の椅子に座って待つ。花が変わっているが、花の名前に詳しくはないので、いつもキレイだなと思うだけになってしまう。

気づけば季節が過ぎていく。
気持ちだけは焦るが、結局今すぐにできることはない。
だけど、このままでいいのだろうか。

この間からふとした時に考えているが、結局は堂々巡りするだけで、明確な結論は出ない。
考える事すら無駄かもしれない、と頭の中を過る。
いやいや、と首を振る。
それは考えることを放棄しているだけだ、と自分で突っ込みを入れる。

結論は出ない問題に、大きく一息をつくと、準備を終えた華子さんが戻ってきた。

「ノブちゃん、お待たせ~。どうしたの?何かあった?」

「いえ、ちょっと考え事をしてただけで、大丈夫です」

「何か悩み?」

前に座ると、ぐいっと華子さんの顔が近づく。目を見開いて、私の目を捉えて離さない。
有耶無耶にすることはできなさそうだ。
だけど詳しく話すことはできないので、当たり障りのない事だけを口から出す。

「まぁ、色々と。私の今の状態だとできることはないなぁって」

「そっかぁ。記憶はまだ戻らないのよね?でも、無理しなくていいのよ。私達ができることなんて限られてるんだし。既にノブちゃんができることはちゃんとやってると思うわよ」


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