第6章 お屋敷での生活
【実弥side】
柱合会議が終わった。
帰りに見回りをして帰れば、もう空は少し白み初めている。
今日は散々だった。いくらお館さまのご意向だとしても、鬼はダメだ。
だがあの鬼は三度も刺したのに、俺の稀血にそっぽを向きやがった。
俺が食べないという証明をしまったというのが、本当に気に食わねェ。鬼は全て殺す。例外はあり得ない。
なぜあいつの妹なんだ。何で母ちゃんじゃなかったんだ。そしたら、弟や妹は生きていたかもしれないのに…。
そんな考えに至ってしまった自分が腹立たしい。
女々しいぞ。あの時、俺は誓ったんだ。鬼を全て滅すると。
それにあの鬼もお館さまの意向があったとしても、今後絶対に人を襲わないと言う保証はない。だったらその時、俺が斬るだけだ。
屋敷に戻ると、隣の部屋から寝息が聞こえた。
「気持ち良さそう寝てやがる」
ポツリとこぼれる。
そういえば、鬼のことだけでなく、その後の会議の時も厄介だった、と思い出す。
柱合裁判が終わった後、会議がはじまったが、俺はムシャクシャしたままだった。那田蜘蛛山の件ではっきりしたが、隊士の質が落ちている。その事が更に苛つかせ、何度も声を荒げてお館さまに訴えた。
その後はいつも通り現状報告を行い、解散の流れになった。そこまではいつも通りだった。
お館さまが立ち上がり部屋を出て行かれる直前だ。
「実弥、そういえばノブはどうしている」
「今日から隠に日常生活を送る上で必要なことを習わせています」
「がんばっているようだね。早く実弥のお世話をできるようになってもらわならないとね。一緒に住んでるのだから」
「ただの居候です。俺の世話をしてもらうつもりは皆目ありません」
「ノブのこと、よろしく頼むよ」
「御意」
あいつは俺の世話をするために置くんじゃない。お館さまに頼まれたから、嫌だが面倒をみるだけだ。お館さまからじゃなければ、あんな珍妙な奴を居候させる訳がねェ。