第21章 秋祭りを歩く
私がその主人公のように、実弥さんの居場所にはなれないし、なるつもりもない。
それは、全てが終わった後に、一緒に余生を過ごす相手の役目だ。私はたまたまこの物語に迷い混んでしまっただけで、日々進んでいく物語の傍観者でしかなり得ないのだ。
今から実弥さんが進む道は厳しい。
私が手伝える事はない。
一緒に闘うことも、一緒に敵を追うこともできない。実弥さんの背負っているものを一緒に持つことも、この時代を一緒に生きる事もできない。
私はここには仮にいるだけで、できることはない。
だけど、この風車を通してなら、風を感じていられる。
実弥さんは風の呼吸で、型を使えば風が起きる。
どこで何をしているか、私に分かる術はないが、風を感じて実弥さんの残像を探す事はできる。
今はただ今日も生きていてくれるように、そして実弥さんの目的が達成できるよう、祈るだけだ。
それに呼応するかのように、カラカラと音を立てて風車が回る。
これからの事は、かなり考える事が必要だけど、今日はこれまでにしよう。
障子を閉め、布団に入る。
疲れていたのだろう。
目を閉じれば、すぐに深い闇へと落ちていった。