第21章 秋祭りを歩く
だけども、結局考えても不安が襲いかかるだけで、解決法は見つかることはない。出口のないトンネルをひたすら進むかのようだ。
ふうっと、大きく息を吐き、障子窓を少し開けて夜空を眺める。真っ暗な空はトンネルの様だが、煌めく星達が進む道を照らしているようで、何も道標のない私とは違う。
空を彩る星から見れば、私の悩み等、本当に些細な事だと、笑うのだろう。笑うのだったら、少しは私の道も照らしてくれないだろうか。
「ふっ、余りにも都合が良すぎるか」
自分本意の考えに声が漏れる。お祭りはまだ続いているのだろう。耳を澄ませば、遠くに声が聞こえる。
その声を消すように、カラカラと音を立て、風車がゆっくり回る。
それと同時に、少しだけ冷たい秋風が、私の頬を優しく撫でていく。私を慰めてくれているかのようだ。
「ふふっ」
すべての事を自分の都合が良いように考えてしまう、自分の思考に、苦笑いする。出口が見えなくて、不安しかなくて。自己防衛なのだろう。
冷たい風が突き刺さることはなく、柔らかく横を流れていく。ただこれだけの事だけど、そう考えることで、その時は気持ちが和らぐのだ。
この風はもしかしたら、どこかで実弥さんが闘った時の名残かもしれない。例えそうでなくとも、実弥さんは今この時を、鬼を殲滅させるために動いているのだ。
時折回る風車を見ながら、深みに嵌まっていく自分の気持ちを切り替える為に、記憶の糸を手繰り寄せる。
確かあれは、主人公に対して誰かが言った事だったように思う。
『自由奔放な風に対して、大きく揺れて、ここがお前の居場所だと教えてやればいい』
そんな感じだった気がする。段々と記憶が曖昧になってきているから自信はないけど。
実弥さんは自由奔放な風というより、ただ一直線に突き進む風だ。何にも影響を受けることはない。
目標に向かって脇目も降らずに進む姿は、台風のような激しさもある。