第21章 秋祭りを歩く
【実弥side】
「じゃあ、谷川の蕎麦屋にでも行くかァ?」
ノブの耳元近くで、少しだけ小さな声で囁く。どんな反応をするのか、少し楽しみにしながら、体を起こす。
ノブは流石に驚いたのか、顔が真っ赤に染まっていた。
それを見た途端、何故か俺の心の臓が一つ大きく跳ねる。
「えっ?いや、あの…それは、どういう意味で…」
自分の反応に一瞬疑問に思ったが、ノブの可笑しな反応の方に気を取られる。
あまりにもしどろもどろな反応が愉快で、見下ろしながら、更にからかい続ける。
「んー?そのまんまだァ。蕎麦がいいんだろォ。谷川の蕎麦屋に行くかァ?」
「うっ…えっと、そうですね。実弥さんが行きたいなら、別にいいですよ…」
真っ赤な顔のまま、想像の斜め上をいくノブの答えに驚き、声が大きくなる。
それと同時に、俺の下半身がドクリと脈打つ。
「オイッ!何で断らねえ?」
「いや、実弥さんが行きたいんだったら、行ってもいいかなぁって」
未だに顔は赤いままだが、少しだけ気を持ち直したのか、いつものヘラヘラとした顔でそんな発言をする。
こいつ、意味分かって返事してんのか?
頭を抱えながら、ノブに確認する。
「お前、それが何を意味してるか分かってて言ってるんだよなァ」
「えぇ、一応。私がお手伝いするだけでも、全然いいですよ。もしかして、ヤられちゃう?喰われちゃう?感じですかね?ちょっとそれは…恥ずかしいですね…」
一度は目を反らしたものの、すぐにいつも通り、ノブの目は俺を捉える。
手伝うという単語に、ノブから受けた行為が頭を過り、一気に下半身が疼き出す。
何でこんな時に反応するんだァ。
「いや、まあ、でも、実弥さんが望むなら、好きにして貰って構いませんよ」
顔は真っ赤なまま、いつもより優しく笑う。その顔が妙にいつもより大人びていて、また下半身がドクリと脈打ち、硬さを持ち始める。
やばい。このままじゃ、冗談が冗談じゃなくなるぞォ。
頭をガシガシと掻きながら、自分を落ち着かせる為にも、一つ大きく息をつく。