第20章 秋祭りのお手伝い
「アァッ!何がだ。話が途中過ぎて分からねェ!ちゃんと説明しろォ!」
店の外にいた実弥さんは、私の声に怒りながら店の中に入ってきた。
「すみません、実弥さん。おじさんが今日のお礼と言ってるんです。私、貰えないです、これ。どうしましょう?」
おじさんが持ったまま、宙ぶらりんになってしまっている紙袋と封筒を指差す。
「ん?なんでだァ?貰えばいいだろうがァ」
実弥さんは私の言うことが分からないと言った顔だ。
「だって、私、お手伝いしただけなんですよ。全然お役に立ててないのに、頂けませんよ」
「ハァッ。あのなァ、これは、ここの大将がお前に対して評価した結果だァ。素直に貰っとけェ。大将の気持ちを蔑ろにするのかァ、お前はァ」
一度大きく息を吐き出し、真剣な顔で説明してくれる。それでも、私は納得ができない。
「でも、私、手伝っただけなんですよ。記憶もなくて、全然役に立ててないのに。時間も私の都合で先に帰らせてもらうのに。そんな状態なのに貰うなんて、申し訳ないです」
「ノブ、お前の記憶があろうとなかろうと、時間がどれだけだろうと、良い悪いも、お前は今日の働きをちゃんと評価されるべきなんだ。そして、それをお前は受け入れる義務がある。分かるかァ?」
実弥さんは、もう一度、ゆっくりと私を諭すように説明してくれる。私の存在が曖昧だけど、それが問題な訳じゃない。今日私が働いた、という事を、しっかりと評価を受けなければならない。それが、悪い結果としてもだ。
そう言われると、もう受け入れるしかない。
「はい」
「それで、大将がお前が今日の働きに対して、評価した結果だ。受けとれェ。これはお前が受け取る必要があるんだァ。受け取って、それからまた考えれば良い」
実弥さんは小さな子をあやすように、私の頭を二度トントンと軽く叩く。
「…本当にいいんですかね」
それでも私が私の事をどうしても信じられなくて、そう言葉が出てしまう。