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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第20章 秋祭りのお手伝い


「ところで幸子さん、買いに来てくださったんですよね?」

「そうそう。本来の目的を忘れてたわ。串団子を30本頂戴」

「そんなにたくさん。ありがとうございます」

「本当に。毎年ありがとうございます」

華子さんと一緒に包みながら、お礼を言う。幸子さんは毎年たくさん購入してくれるようだ。

「家族もだし、従業員にもね、差し入れるから。毎年の楽しみなのよ」

「そうなんですね。お待たせしました」

幸子さんに包みを渡すと、手に持っていた籠に入れた。

「いえいえ。ノブちゃん、うちも出店を出してるから、もし時間があったら来てね。じゃあ、華子ちゃん、お父さんにもよろしく伝えててね」

「はい。ありがとうございました」

華子さんと声が合わさる。それに一瞬驚いたような顔をしたけど、すぐに笑う。

「息が合ってていいわね」

そう言い残して、手を振りながら祭りの喧騒の中に消えていった。

「幸子さんって、格好いいですね」

「ふふ。頼りがいがあるのよ。お母さんみたいな存在よ」

「それ、分かります。何だかんだで、お母さんみたいです」

たぶん実際の年齢的には、華子さんより幸子さんの方が近いのだろうが。肝っ玉母さんという感じで、本当に安心感がある。同じ母親でもこうも違うのかと思ってしまう。

「おい、ノブ。何喋ってんだ。ちゃんと店番してんのか。ほら、饅頭だ」

饅頭を持って出てきた斉藤さんは、何故か私だけ指摘する。分かっている。
分かっているんだけど、何だか腑に落ちない。

「斉藤さん。何で私だけですか。さっきまでお客さんもいましたし。華子さんも喋ってましたよ」

「んー?そりゃ、お前には言いやすいからだよ。決まってるだろ」

「やっぱり。そんな気がしてました」

「なら、聞くな」

「えー。だって、分かってても差がありすぎますって」

華子さんとの扱いに違いがあるのは分かるが、違いすぎる。

「いいだろうが。ほら、無駄口を叩かない」

「斉藤さんのせいじゃないですか」

「ハァッ?」

「今のところ、私と斉藤さんしか喋ってません。私が喋ってるのは、斉藤さんとです。ほら、斉藤さんのせいじゃないですか」

「お前は、ああ言えばこう言う。口を塞いでやろうか」

「いえ、遠慮します」


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